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らっくんちのまいにち

らっくんちのまいにち

その2.べに

なまえ・紅。べに
性別・女の子
生年月日・2000年9月1日頃
種類・なんちゃってマメ柴
カラー・赤
性格・自分より弱いもの、新入りなどにとことん優しい。心が洗われるような優しい子。でも、侵入者には底力のある声で吠える。
既往症・なし・・・なし、ってステキ。避妊手術済み。

   「べにとの出会い」
 市内出張の帰り、図書館に寄ろうと思い、いつもと違う駅で電車を降りると、駅に隣接した公園のベンチに、高校生の女の子がポツンと一人で座ってました。熱心に膝に乗せた箱を覗き込んでるので、近づいてみると、ギュウギュウという鳴き声が耳に入りました。

 近づいて声をかけ、箱の中を見せてもらうと・・・黒に近いこげ茶色のモグラみたいな、生まれたての子犬が入ってました。その女子高生の話では、近くの家で子犬が産まれたが、生まれた日の夕方に道端の草むらに捨てられ、それを見つけたその子が一晩面倒を見たが、自宅では飼えないし,飼ってくれる人も預かってくれる人も見つからないから、どうしようと思ってたそうです。

「じゃあ、私が飼うよ」
 と、思わず言ってしまいました。そういう時に迷うのが、なんだかみっともないような気がしたから。
 私の家族が飼うのに反対するのはわかってたので、「飼ってくれる人を一応探してみて、見つからなければ私が責任を持ってかわいがる」と言い直すと、何度も何度も頭を下げて、女子高生は帰って行きました。

 私の家は現在、生き物をたくさん飼える環境にあります。べにが来た当事は、たくさんとまではいかなくても、犬1匹くらい増えても構わない環境にありました。ただ、家族は、家が汚れたり傷ついたりするのが嫌なのと、近所に迷惑がかかったら困るというのと、死んだ時にかわいそうだ、という理由で、これ以上、生き物を増やすなと言ってました。その気持ちもわかるんだけど。 当事、私の家にいた犬はひよりだけ。猫は凪としーくんです。

 生まれて2日目の子犬を持ち帰ると、案の定、家族はいい顔をしません。でも、飼い主を探すから、と力説し、とりあえずひとり立ちできるまで家に置くことになりました。

 子犬はみんなに可愛がられました。家族は生き物を増やしたがりませんが、生き物は大好きなんです。生き物が大好きだから飼いたいという私みたいな人間には、このフクザツな気持ちがちっとも理解できないけれど。こうして、とりあえず、子犬は我が家の一員になりました。

 犬用のミルクと哺乳瓶を急いで買いに行きました。仕事に行ってる間に死んじゃってるんじゃないかと心配で、毎日ハラハラしてました。でも、子犬はちゃんと私の帰りを待っていて、すごい勢いでゴクゴクとミルクを飲み、ぱっつんぱっつんのおなかをしてました。おしっこをちょびっとして、昔、白米の袋に少しだけ入ってた黄色いお米みたいなちっちゃなウンチをしてました。

 でも、ある日、ふと思ったんです。
「いつになったら、この子は目が開くんだろうか」って。
 子犬用の哺乳瓶が入ってた箱に、犬は生まれて2週間ほどで目が開くと書いてありました。でも、2週間目が近づいてるのに、子犬の目はぴったり閉じています。

 私は子供の頃にも犬を飼っていて、子犬が生まれたこともあったので、子犬の目の開き方を知ってました。一気にパッと開くのではなく、徐々に開いていくはずなんです。でも、うちの子犬の目は・・・

 やっぱり、母乳じゃなきゃダメなのかなあ、とか、母親から離されて捨てられたのが早すぎて、どこか障害が出ちゃったのかなあ、と思いました。
「いいじゃん、目が開かなかったら、うちの子にすればいいんだから」
 とりあえず、こう決めました。

 だから、目が開かないことについてはあまり心配してなかったんですが、
        開きました。パッチリ。ちっちゃい目が。

 飼ってくれる人を探しました。真面目に探しました。でも、きっと見つからないとも思ってました。ちっとも可愛くなかったから(客観的に見ればね。私にとっては、そりゃあ可愛いけど)黒に近いこげ茶色の毛色で生まれた子犬は、育つにつれ、ハイエナみたいな毛色になってきたんです。

「子犬だからまだかわいいけど、大人になったらハイエナみたいになるよね」

 これは、私が子犬の里親を探してることを話したら、欲しいと言って見に来た短大時代の友人の言葉です。もちろん、直接私に言ったんじゃなくて、旦那さんと一緒に見に来てたから、夫婦でこっそり話してるのが聞こえちゃっただけですけど。

「やっぱ、生き物は何でもみんな見かけで判断されるんだよな」って、何だか、とってもガッカリしました。その友人が子猫5匹の里親を探してた時、私は2匹預かって里親を探し、1匹は残念ながら死んでしまいましたが、残った1匹は、私の最愛の猫、癌で死んだしーくんです。

 友人が帰った後、私は子犬をうちの子にすることに決めました。新しい飼い主につけてもらった方がいいだろうと思ってつけてなかったけど、名前もつけました。

 ハイエナみたいな犬になるかもしれないけど、可愛くて、ちょっと艶っぽい名前がいいな、と思い「口紅」の「紅」にしました。

こうして、紅はうちの子になりました。
不思議なことに、成長するにつれ、黒い毛だけがどんどん抜けてゆき、名前通りのとってもきれいな子になりました。

2008年10月30日 永眠 享年8歳


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